op.7 「2015 ナイアガラ辛口」

PA060628  375ml入り1000円(消費税別)

9月、伊那ワイン工房立ち上げて2期目の醸造シーズンになりました。最初に入荷したブドウは塩尻市産のナイアガラです。ナイアガラブドウで辛口のワインを作る、これが一つのテーマだと思っておりますが、今年はブドウの入手から思う様にゆきました。香りがまだ開かず、酸味が高く、無病でまだ少し青いくらいのナアガラブドウ。生食用としては未熟の部類です。これこれ。

丁寧に搾汁して、低温でゆっくり発酵させ、糖分を食い切らせ、発酵が終了してオリとの分離が始まったころ早々に壜に詰めてしまいました。「タンクの中の発酵終了直後のナイアガラのワイン」を見てもらおうと思いまして。

フレッシュで酸がスキッと尖がっています。辛口です。香りは大変に穏やか。「清楚」と表現させていただきます。食事に合うと思ったのですが、尖がりすぎていて少々主張しすぎの感があります。とにかく冷やして新鮮さを感じていただきたいワインです。あまり見たことのないナイアガラワインかもしれません。

このワインには注意事項がございます。それは「酒石」の問題。ブドウの酸の成分である酒石酸は、アルコールの存在下で低温にさらされるとブドウ成分のカリウムを巻き込んで結晶として析出してきます。通常のワインは、タンクの中で低温を経験させて結晶化を終了させてから瓶に詰めるのですが、このワインではその工程を一切経ておりません。しかもまだ9月の内に壜に詰めたものですから品温も高く、壜詰め後出荷まで一週間ほどの貯蔵期間中の季節の変化だけでごっそりと酒石がでてきました。

PA060631↑ 底の白っぽいのが酒石です

無論健康に害のあるものではありませんし、積極的に酒石を析出させる工程の方がデメリットの面がありますので、許されるのでしたら「酒石はワインの異物で非ず」の主張をしてみたいと思います。とは言いましても、きちんと説明をしてご理解いただけるお客さまのみにお買い上げいただけることが条件になるのですが。

「このワインには酒石がでております」と裏ラベルに書かれているのに酒石が出ていないワインが他社でも結構あります。結構デリケートな化学反応なんですね。でもこのワインはすでにごっそりと出ておりますので美しい本物の酒石をお楽しみいただけます。(開き直っておりますが・・・ご容赦ください)