これ、酒石です

酒石 伊那ワイン工房酒石 伊那ワイン工房

「こったらもんほしいんかい。

 したらなんぼでも持ってけばいいべさ」

仮想台詞 マッサン 熊虎(演:風間杜夫) 北海道弁指導by弊社生粋道産娘

NHKドラマ「マッサン」の2月25日放送で海軍の命令によりブドウ酒より酒石を取る方法を指示する場面がありました。見ていて突っ込みどころ満載でしたので熊虎風に言ってみました。

戦時中はどんな状態の酒石が必要だったのかはわかりませんが、貯蔵中のタンクの底には写真の様な状態で酒石がこびりついています。純粋な結晶は白いのですが、貯蔵中の赤ワインの澱を巻き込んでワイン色で板状になっていました。酒石の元の酒石酸はブドウ独特の酸でナトリウムカリウム塩として析出しますが、これの扱いが本当に面倒くさいのです。

醸造中や貯蔵中のタンクや樽では頑固にこびりつきブラシでこすっても取れません。お湯を使い、だましだまし時間をかけて取ってゆくのです。貯蔵中のタンクの中で結晶する分にはまだしも、製品壜の中で出ると「異物」とされて返品対象になる始末。たいては壜詰め前に低温を経験させて結晶を出し切り、試験室で試験をし、もう酒石は出ないと判断ができたら壜詰めをします。「異物」と言われましても純然たる”ぶどう”の成分ですから消費者の方々に理解を求めて、より自然な状態のワインを楽しんでいただきたいのが作り手がわの希望なのです。中には「このワインには酒石といわれる結晶がでます。これは本物のワインの証です」などとポジティブにラベルに書かれたワインもありますが、このようなラベルを張るとたいてい結晶が出なかったりしてまたお叱りをうけます。

戦時中、酒石を取るための目的でしたらワインに手を加えて酒石酸を極力結晶として取り出す努力をしたのでしょうから、残ったワインは飲用にはならなかったでしょう。通常ボトルの中で酒石が出ないよう低温処理をした程度ですとワインの劣化とまではゆかずにすみます。 ブドウを使った加工食品(ワイン、ジュース、ジャムなど)すべてがこの酒石のおかげでひと手間もふた手間も工程手順をかけ、設備コスト、クレームリスク等を抱える必要があるのです。平和な現代だから言えますが、「こんなもんほしいのか。だったらいくらでももってけ」と言いたくなるわけです。

作り手

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