シードルは最近よく話題になっています。りんご原料のお酒というとシードルと多い浮かべる方が多いように感じます。フランス、ドイツの製品イメージからか日本の大手メーカー様(マッサンのながれ)のご努力によるものか、りんごのワインというと発泡性(炭酸ガスを含んだシャンペンのようにシュワシュワ泡のたつもの)を一般にシードルと呼んでいます。様々な定義はあろうかと思いますが、伊那ワイン工房では「シードル」といえばガスの入った発泡性のりんごワインを指し、一方OP.2のようなガスを抜いて細かい濾過を通ったいわゆる普通のワイン(スティルワイン)を「りんごワイン」と呼ぶことにしますので今後ご協力をお願いします。
りんごから作るワインをあえて2つに分けて定義つけまで確認させていただくには結構私の主張があるからです。特に「りんごワイン」についての。OP.2の解説に長文をのせましたのでそちらをご覧ください。今後ことあるごとに書かせていだきますのでお付き合いください。
OP.3「2014紅玉シードル」の解説をします。原料はOP.2と同じ長野県佐久地方の紅玉のみで作りました。アルコール分を上げるための補糖はしておりませんので7%程度で辛口になっています。紅玉のみですので酸味が強く、香りが残っています。発酵途中Op.2の「りんごワイン」を壜に入れて皆様に見ていただくイメージです。その差を楽しんでいただき、これからりんごのお酒はどうしたら良いのか感想をお聞ききしたくて作りました。
シードルの炭酸ガスは壜の中でアルコール発酵して作られたものが溶け込んでいるものです。一般のワインはタンクの中で発酵をコントロールしたり状態を確認して手当てができるのですが、シードルの場合は販売壜に詰めてしまえばそれぞれの壜が発酵容器になるわけですから、発酵の状態や進み具合は一本一本異なっていることが予想されます。できうる限り同じ条件で壜詰めから出荷まで保ってきてはおりますが、個体差が出ることは覚悟しております。さらに出荷してから食卓のグラスに入るまでの経緯によってさらに大幅に状態は変わっていると思います。作り手からするとこの不確定さが非常に嫌な要素で、自信をもってお出しできる製品とは言えないのです。作り手自身の経験がもっと深まり、壜内の状態がより正確にコントロールできるようにすることが今後の課題だと承知しておりますので、現時点では多々予想される不始末の可能性をご了解いただいたうえでご利用お願いします。予想されること①壜内での発酵が不十分で泡が思ったより少ない。もともと辛口で作られていますので炭酸飲料のような強いガスは出ないはずです。でも、壜内発酵でじっくりとガスが液体に溶け込んでいますので、グラスに注いだらシュワっとしてすぐ消えてしまう泡でなく、比較的長時間グラスの底から泡が立ち上がっていてくれると期待しています。②壜内の酵母菌はまだ生きていますので暖かい所に置けば発酵が進みます。どんなに発酵が進もうとも壜や王冠を突き破るような圧力は出ないよう調整してありますが、風味はそれぞれ変わりますので各壜ごと同じ味は無いとお考えください。③王冠栓を開けるときはご注意ください。ビールでもシャンパンでも振ってから開栓すれば吹きこぼれることはご承知だと思います(優勝したプロ野球チームか最速のレーサーのみが楽しめる特権ですが)。温度が高いと炭酸ガスは液体に溶けにくくなりますので冷やしてから開栓してください。味も冷やした方が美味しいはずです。壜の中には酵母菌やりんごの成分が入っていて濁っていますので、この濁りが起爆剤になって液体に溶けていた炭酸ガスが溶け出して泡を大量に噴き出す恐れがあります。飲もうと思ってなんの気なしに栓を抜いたら吹きこぼれて半分以上こぼれ出てしまい回りを汚してしまう。これが最悪の風景。
上記のご説明で恐れを感じてしまわれた方もおれれるかもしれません。お買い上げいただきましたら日の当たらぬ涼しいところに保管し、お飲みになる1-2日前に冷蔵庫に立てて置いておいて下さい。澱が壜底のくぼみに溜まり上が澄んだ状態になるはずです。そうなったら静かに食卓へ運びテーブルの上に置いた状態で王冠栓を抜いてください。この状況ですと「ップシュ」と音がする程度だとおもいます。静かにワイングラスに注いでもらえばシャンペンのような透明できれいな泡がグラスの底から立ち上がってくる姿を楽しんでいただけるはずです。あとは美味しいと感じていただけることを作り手は祈るばかりです。
OP.2とOP.3を作った同じ紅玉りんごでジャムも作ってあります。信頼できるジャム工場に原料を持ち込み、こちらのレシピに沿って作ってもらったオリジナルジャムです。
作り手