2016年産で3回目となる紅玉りんご100%のワインです。炭酸ガスを含んでいるりんごワイン、いわゆるシードルの話題は最近よく聞かれるようになりましたが、通常のテーブルワインとして作られたスティルワインとなりますと依然関心が薄いようです。残念ながら。
普通のりんごワインではなく、紅玉りんごだけで作っていることに注目下さい。葡萄に比べてりんごで作るワインはどうしても淡泊なものになります。この軽さはワイン(この文章ではりんごもブドウも原料の区別なしとしてください)にとっては魅力に欠ける、(高級ワインに対して)低級で、底の浅い、記憶にとどまらない、どうでもよいワインに分類されてしまう理由になってしまいます。飲んでいただいた方の心に何かを残したい。良くも悪くもあとから思い出してもらいたい。りんごのワインにこのような主張を持たせようとした場合、原料に「紅玉」100%を選択した意味が解っていただけるかと思います。
今回の紅玉りんごワインは過去のものに比べてかなり酸味があります。よくぞりんごでこんなに酸味が出せたものだと感心します(無論紅玉りんごだけの酸味ですから)。お酢やレモンとは別なその酸味は味の8割は占めるでしょう。人によっては心地よい酸味で、苦にならないどころか魅力的な味に取っていただけます。そうなると酸味に隠れていたあと残りの2割の味わいの部分が魅力を発揮してくるはずなのですが、いかがでしょう。文字通り「りんご酸」の味わいです。「淡泊なワイン」にならぬよう心掛けたのですが。
。